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2007.06.18

タブー



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『マーダーボール』
という映画のDVDを借りてきて観ました。


初めは車イスバスケの
スポーツ感動モノかなと思ってましたが、
その想像以上にハードな内容でした。

まず取り上げられているのは車イスバスケではなく、
ウィルチェアーラグビー(車椅子ラグビー)
を題材にしたもので、

別名「マーダーボール」(殺人ボール)
と言われるそのスポーツ。

完全ノンフィクションで、
USA代表チームにスポットを当て、
世界選手権やアテネ五輪(パラリンピック)
までの道のりを各選手の生活にも触れながら
淡々とストーリーが進行していきます。。。

競技用の車椅子は完全オーダーメイドであり、
鉄パイプで組んだフレーム、
足元やタイヤホールを鉄板で覆った
まさに『車椅子装甲車』といったいかついシロモノ。

そしてこの戦闘マシンに乗る男たちは、
事故や病気で頚椎に損傷を負った
四肢マヒの障害者たち。

しかし、障害者なんて言葉が
似合わないくらいのワルどもで、
両手両足が欠損、または不自由だ
なんて感じさせないパワーがあり、
バーで酒を呑み、女の子をナンパもするし、
健常者相手にも平気で
ケンカして勝ってしまうようなヤツらです。

試合は激しく、
とても障害者スポーツとは思えません。

屋内コートで行い、ボールを持って
普通のラグビーのように トライする
ことによって得点されますが、
それを阻止しようと、
『装甲車』でガンガン体当たりをする
まさに闘争心むき出しのスポーツ。

でも私生活では底抜けに明るく、
まわりの目など全く気にしていない。
障害者としての生活を
笑いにしてしまう場面などもあります。

アメリカという身障者に開かれた環境もあるのでしょうが、
彼らのどこまでも前向きな姿に感動させられます。

そして、脊髄損傷により、気になるのが、
ちょっとタブー的でなかなか触れられない
「性生活を営めるか否か」という部分。

バーで知り合った女性たちも、
四肢の麻痺の程度がわかると、
次に「その部分」が気になるのですが、
なかなか口には出せません。
彼らもそこは理解していて、自分から
「俺は大丈夫だぜ!」と誇らしげに!

ここでは医師による
『性の再生 脊髄損傷患者の性生活』という
実践ビデオがあり、映像で写されています。

手足の自由が奪われた彼らにとって
「その事」がいかに大切なことか、
障害者となって生きていく気力を失いかけているときに
SEXが可能かどうかというのは
QOL(生活の質)で大変な差があるようです。

一様に彼らが口にする言葉は、

 「俺はその辺にいるごく普通の男と
 どこも変わりがない、 何でもできるからね」

 「自分で限界を作る必要はないんだ」

と全員が四肢障害者として誇りを持って生きています。

我々は身障者に対して、どこかしら偏見があり、
まるでガラス細工のように大切に扱いますが、
それで逆に相手を傷つけてしまう場合もあります。

そしてこのマーダーボールの選手たち、
ハンデがありながらも とんでもない激しいぶつかり合い
にも平気で耐えています。

障害を負った当初は
苦しいリハビリの時期もありましたが、
このマーダーボールと出会うことにより
勇気や活力を身につけました。
精神がいかに肉体を強くするかといういいお手本です。

お涙ちょうだいのシーンなどは一切なく、
淡々とドキュメンタリータッチで進行していき、
初めは理解しにくいですが、
段々と彼らの生き様そのものに現実の厳しさと、
人間の持つ力強さが感じられていきます。

そして彼らの言葉一つひとつに、
五体満足な自分が
逆に励まされていることに気付きました。

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