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2008.04.04

愛情と肌の色

久々に映画の話

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『代理人』(Losing Isaiah)
という映画を観ました。
1995年のアメリカ映画です。

 




 麻薬中毒でスラム街に住む若い黒人女性カイラ、
 父親が誰だかわからない子供を産みますが、
 麻薬に溺れている彼女は判断能力を失い、
 ゴミ捨て場のダンボールの中に赤ん坊を遺棄。

 あわやゴミ収集車に潰される手前で発見された赤ちゃん
 病院に運ばれICUでどうにか一命をとりとめますが、
 この赤ちゃんもまた母子感染により麻薬中毒状態に。

 イザヤと名づけられたこの赤ちゃん、
 母親に捨てられながらも懸命に生きようとする姿を見て、
 保護士であるマーガレットが引き取って育てることに。。。

 裕福な白人家庭で何不自由なく大切に育てられたイザヤ、
 やがてマーガレットたち夫婦の正式な養子とすることに。

 

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 しかし、麻薬中毒から逃れ、更正したカイラ。
 自分の息子は死んでしまったとばかり思っていたのだが、
 生きているということを知り、取り戻すべく裁判を起こす。


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この裁判の内容が映画の重要なポイントとなっていますが、
その焦点は『人種問題』

子供に対してどれだけ愛情を持っているかではなく、
また育ての親であるマーガレットがこの世の全て
という幼いイザヤの感情などは全く無視で、
ただ『白人には黒人の子供は育てられない』
という視点で裁判は進んでいきます。

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いかに白人と黒人では違うのかということを、
その生活様式、歴史、習慣、教育、宗教・・・
さまざまな点で裁判上で争議がおこなわれ、
結果イザヤの養育権は産みの母親カイラの元へ。

・・・確かに今はいいですが、子供が大きくなるにつれ、
白人の家庭の子供として育っていけば
将来さまざまな問題も浮上してくるのでしょう。

日本ではこういうケースはちょっと考えにくいですが、
アメリカではこういった異人種間での養子縁組に関して
とてもデリケートな対応をしているようです。

特に肌の色が違う場合、こうも話がややこしくなるのかと、
アメリカ社会の複雑さが垣間見えた感じがします。

物語の続きは、

 引き取られたイザヤは心を閉ざしてしまい、
 いくらカイラが献身的な努力をしても心を開いてくれません。

 一言も口を聞かずまったくなつこうとしないイザヤ、
 食べ物もほとんど受け付けず、次第に憔悴していく母と子

 そして最終的にカイラはマーガレットに助けを求め、
 白人と黒人 二人の母親が愛する子供のためともに協力して、
 イザヤを育てていくということで決着がつきます。



大人たちで決めた理解できない理不尽な処置、
マーガレットから無理やりに引き離されたイザヤの、
怒り、悲しみ、絶望感、焦燥感・・・
幼いイザヤの苦悩が画面から痛いように伝わってきます。
またいきなり育ててきた子供を奪われた母親の心境、
そしてまた子供を捨てた罪の意識に苛まれ続けたカイラ・・・

久々に涙がこぼれそうになりました。。。

白人が黒人の子供を養子にするケース、
マドンナがアフリカ南部のマラウィの子供を養子にしたり、
ブラピ、アンジー夫妻が、ベトナムとカンボジアの子供に続き、
エチオピアとチャドの黒人の赤ちゃんを養子にしました。
これも「家族で肌の色のバランスをとるため」とされています。

「人種間のバランス」というもの、
日本にいてるとあまり身近に感じませんが、
異人種国家においてはさまざまなシチュエーションで、
とても重要であるということがわかります。

そして母と子の愛についてもこの映画では訴えています。

この映画の原題「Losing Isaiah」
直訳すると「イザヤを失うこと」(かな?)
でもわかるよう、我が子への愛情について深く表現されています。
産み、育て、両方ともの親がいかに子供を愛しており、
そしてそれを失ったときの悲しみの深さが描かれている映画であり、

なぜ邦題は「代理人」になっているのかは?
この題名はちょっと的外れな気がします。

白人の養母マーガレット役:ジェシカ・ラング
黒人の産みの母カイラ役:ハル・ベリー
黒人の敏腕弁護士役:サミュエル・L・ジャクソン
俳優たちはとてもいい演技でした。

そしてイザヤを演じた子役のマーク・ジョン・ジェフリーズ君
素晴らしいの一言です。

日本では未公開だったらしいですが、
とてもいい映画だと思います。
今の日本で失われつつ親子の絆というものも、
再認識させてくれる気がしました。

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