北風と太陽
お客さまとの会話の中で、
「フットマッサージとリフレクソロジーってどう違うの?」
という質問をよくうけることがあります。
リフレクソロジーはよくマッサージなどと混同されることが多いですが、両者は一見似てるような印象ですが全くの別物です。
足がだるいから、疲れているから「揉む・さする」というフットマッサージと違い、リフレクソロジーは「反射」による全身を対象とした療法です。
マッサージや整体などは目に見えている部分、
手に触れることができる箇所が治療(施術)の対象であり、
症状に対して直接的な刺激をあたえる施術をおこないます。
ところがリフレクソロジーでは「問題のある部分」に直接触れることはしません。
手や足を介して刺激を与えて心身を全体的に活性化させることにより
「自分自身の中の名医」をうまく働かせる間接的なアプローチをおこないます。
全ての人の体の中には「自然治癒力」という名医がいます。
炎症や感染症、循環不良、神経伝達異常、内分泌の亢進や減退など、さまざまなアンバランスに対して、「元の状態に戻ろう」とはたらく力(ホメオスタシス)があり、これがどんな治療よりも優れた名医なのです。
人に説明するときによく例える比喩としてイソップの『北風と太陽』の話をします。
ある旅人が着ているマントをどちらが早く脱がせるかと北風と太陽が力くらべをしようと競い合うというお話。
北風は勢いよく風を吹かせて旅人のマントを力ずくで剥ぎ取ろうとしますが、これは逆効果で旅人はマントが飛ばされないようさらに強く押さえてしまいマントは剥ぐことはできなくなってしまいます。
変わって太陽は、暖かい陽をさんさんとふりそそぎ、旅人が自らマントを脱ぐようにしむけてこれが成功します。
「なぜ旅人がマントを着ているのか?」を考えれば納得のいく結果でありすごく自然なことに感じます。
目に見える症状を見るのではなく、その原因に対するアプローチが肝心ということにもつながるんじゃないでしょうか。
この「自然なこと」というのが何事においても大切なのだと思います。
現代医療にも似たところがありますよね。
炎症を抑えるためのステロイドやガン治療に用いられる抗がん剤などは北風に似ているような気がします。
身体におこった不具合や不協和音に対して、力で押さえつけるまたは症状を隠してしまう。
もちろん他の治療と組み合わせることで有効にはたらくことも結果が出ていますし、症状を抑えるということは大切でありこれで好転すればそれに越したことはないでしょう。
そしてこれとは対照的にホメオパシー(同種療法)などの自然療法があるように思います。
問題となっている症状と同じような症状を起こす物質を超微量にして投与し、体の中の自然治癒力をはたらかせ自己治癒を目指すという療法。
どちらがいいとまでは言えませんが、後者の方がより自然的ではないかと感じています。
冒頭でリフレクソロジーはマッサージとは別物だと言いましたが、
(逆と言ってもいいかもしれない。)
症状に対して直接的に力で押さえつけるということはしないということ。
もちろん首・肩こり、腰痛などに対して、それに対応する反射区を刺激することもおこない、それによって症状を緩和させるというアプローチもありますが、大事なのは「全体に対してアプローチをおこなう」ということ。
目に見える症状だけに目を向けるのではなく、人間をよりホリスティックにとらえることで、体の中の名医が仕事をしやすい環境を作ってあげるということが最大の目的です。
太陽のおこなったアプローチとは少し違うかもしれませんが、結果的に旅人が自らマントを脱ぎたくなるようにするのがリフレクソロジーの理想ではないかと思います。
同じような意味で感じたことが、
イラクやアフガニスタンに対しての武力制圧、
北朝鮮やミャンマーなどの圧制政治など。
これらも北風と同じ過ちを犯しているような気がします。
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