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2010.09.19

パンドラの箱

昨日のNHKスペシャル

 “生命”の未来を変えた男
 ~山中伸弥・iPS細胞革命~


『NHKスペシャル』 

たった一つの細胞から、体中のあらゆる細胞を作り出せ、
医療革命をもたらすと言われるほど画期的な発明。

まずは人体から皮膚の細胞を少しだけ採取します。
それに「山中ファクター」という4つの遺伝子を加えると、
細胞のDNA内の遺伝子情報に作用しiPS細胞へと変化します。
ちょうど受精卵に近い状態にまで初期化されるイメージだという。

このiPS細胞にビタミンやアミノ酸を加えて培養すると、
心臓や肝臓、骨や血管、神経などどんな細胞にでも変化します。

iPS細胞は再生医療や新薬開発などで世界的な注目を集めている。

新聞やニュースでiPS細胞のことは多くの方が知っているでしょう。
僕もある程度のことは理解はしていましたが、
あらためて知ると本当にすごいことですね。

リフレクソロジーという自然療法を業としているので、
否定はしないけれど特に肯定もしないスタンスでいます。
医学の進歩はその全てが正しいとは限らないという考えです。

ホリスティック医療という観点から考えてみると、
まさに人体をまるで機械のようにパーツ化してしまう技術…
というふうにとらえることもできます。

そして、このiPS細胞は使い方を一つ間違えると、
生命のあり方を根底から変えてしまうほど力があります。
生命倫理という点でとても危険な発明とも言えるでしょう。

これまで幾度となくTVでこの技術を研究開発した
京都大学の山中伸弥教授を拝見していましたが、
その話されてる姿をじっくり見るのは今回が初めてでした。

こういう素晴らしくも恐ろしい新技術を作り出した科学者は、
俗世間とはかけ離れた考えの持ち主ではないだろうか…
との先入観がありましたが、実際はとても柔和な印象、
そして思慮深く言葉を選びながら話されてる姿は、
とても知的で紳士的、そして人としての信頼感を感じました。

むしろiPS細胞を作り出したご自身がとても慎重となり、
これが間違った方向で利用をされないかを懸念され、
「パンドラの箱」を開けてしまったと表現されていました。

 これを使えば治らない人が治るかもしれない。
 もし治るかもしれない可能性があるとすれば、
 いかにしてこれを必要としている人の前に持っていくか。
 これを研究のチームの長として意識せざるをえない!

とおっしゃっています。

iPS細胞はどんな細胞でも作り出せるスーパー細胞ですが、
それをそのまま体内の再生に利用するのではなく、
例えばALSなどの難病が、いかなるメカニズムで病になるか
その原因を突き止め、どのようにすれば治療できるか、
また新薬の治験をiPS細胞で安全に迅速におこなう
などの利用方法をすすめておられます。

 希少疾患の患者さんたちはその絶対数が少ないため、
 費用の面から製薬会社などが研究対象にすることもなく、
 ある意味、治療に関して見捨てられている状態である。
 病だけでも辛い思いをしている上、さらに見離されたと感じている。
 こういう患者さんたちをなんとかしたいという強い思いがある。

 

山中教授がお話される言葉を聞いていると、
人類を破滅ではなく、まさにその効果の通り再生へと
そして救いへ導いていただける希望の星ではないか、
そしてその人間性に信頼感を感じることができました。

その他にもがんやアルツハイマー病や糖尿病など、
多くの現代人が直面している細胞の機能不全が原因となる病。
なかでも日本人の1割近くが患者または予備軍と言われている
糖尿病について、その膵臓の細胞を置き換えることで、
インスリン投与がをしなくて済めば、かなりの医療費削減となります。
また最近のニュースでありましたが、
施設の介護職員が糖尿病患者の入所者に無許可で
インスリン注射をおこなったとして問題となっていましたが、
iPS細胞によってこういう問題も解決するわけです。

これからは不妊治療などに役立てられるでしょうが、
一例として、もし同性愛者であってもiPS細胞を使えば、
パートナーの性別に関係なく子供をもうけることができます。
これは倫理的に果たして許されるべきことなのか。

このように生殖医療の問題などについて山中教授は、

 これは患者と医師、研究者だけの問題ではなく、
 社会として取り組んでいかなければ問題である。
 これからの研究者はただ研究だけしているのではダメで、
 倫理面など全てをふまえた上で取り組んでいかねばならない。

と言っておられる。

今年度のノーベル賞の最有力候補とされてるらしく、
世界に誇れる素晴らしい人物を輩出できたことに、
同じ日本人として、関西人として誇りに感じます。

ただ、人類がこの素晴らしい発明の利用方法について
その方向性だけは間違わないでほしいと願っています。

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コメント

皮膚移植にはすぐ使えそうだね。
あとは心筋梗塞に応用できりゃ最高だなぁ。
肝臓は勝手に増えるし、さすがに神経系は難しい気がする。

「希少疾患の患者さんたちは…」の件、
良い事いってるなぁ。
大事な薬でも、採算が取れなくなったらすぐ販売中止だもんなぁ。
正直に「儲からないから」って言えば良いのに、
「原材料の確保が困難になり」とか、必ず良い訳するのが身臭い。

>まぁさん

やっぱり神経系はやっかいですもんねぇ。
素人目線で見ても難しそうな気がします。

製薬会社、そりゃあ企業だから収益をあげなきゃ…
ってのはわかるけど、なんとかならんのですかね。
「儲からないから」って世間に対して正直に言っちゃえば、
寄付とか集まりそうな気がするけどどうなんだろ。

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