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2012.09.01

妊婦への施術

9月になりました。
昨日はここ最近になく過ごしやすい夜で、窓を開けて扇風機も止め、秋の虫たちの声をBGMにグッスリと眠ることができました。
おかげで今日は珍しく寝坊しちゃいましたが。。。

しかし暦というのは本当にうまくできてるもんです。
なんて言ってますが、まだまだ残暑は厳しいようです。

7月からクライアントのお嬢さんの施術依頼を受けました。

彼女は東京在住なのですが、第1子出産のためにお里帰りをされ、体調管理のためにリフレクロジーを受けてくださることになりました。

妊娠34週目から週1回ペースでの施術を開始しました。
訴えている症状として、腰痛、便秘、頻尿、不眠、足の冷え、膝痛、夜中ふくらはぎのこむらがえりなどがあり、なかでも腰痛が一番の悩みであった。
妊娠前期は悪阻が酷かったようだが、現在は食欲も旺盛となっている。しかしそれまで好きだった肉が食べれなくなるなど食事の好みが変化した様子。
胎児は女の子で現在2300gと標準よりも少し大きめ。
少したんぱく尿が出ているらしいが検診では問題なしとされてる。
妊婦は30代半ばで、年齢による様々なリスクを心配されて不安感を抱いておられたようです。

身体症状はどれも妊娠により体やホルモンの変化から起こる自然な症状であり、本人もある程度は納得しておられる様子。

腰痛や便秘など完全に症状がなくなることはありませんでしたが、施術を受けると痛みなどは緩和されていたようです。

そして施術時、骨盤周辺を刺激すると決まって激しい胎動が起こって、特に36週目の施術ではお腹が波打つようにグルグルと回り出し、妊婦さんも目を覚まされ驚いておられた。
このときリフレクソロジストは強い胎動の不安感はなく、施術を赤ちゃんが喜んでいるという確信があり、お腹の胎児との「つながり」をとても強く感じていました。

施術を重ねるごとに妊婦さんはリラックスして眠りに入る速度が早まり、心身にとてもよい効果をもたらしていたようです。

その後も施術を続け、6回目施術予定の日をキャンセルされた39週4日目、予定日よりも少し早く無事に元気な女児を出産されました。

当初は「産道が狭いために分娩は困難だろうから覚悟しておくように」と医師から言われていましたが、前日から断続的な陣痛が起こり夜中に病院へ行き、分娩室に入ってからはわずか45分という安産で午前9時40分にご出産されました。

母子ともに健康でとても優秀な出産だったようです。

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ここで、妊娠についてリフレクソロジストとして知っていること、経験したこと、感じていることなどを書かせていただきます。

まず「妊娠は病ではない」ということ。

妊婦に発生するさまざまな不快症状は、妊娠による急激な生理学的変化に体が追従しようとしている結果であり、それを無理に抑えることはあまり推奨できません。
例えば腰痛が辛い場合など軽くさする程度なら問題ありませんが、分娩時に胎児を通りやすくするため自然に広がろうとしている骨盤を、強いマッサージで無理に刺激するなどの行為は避けるべきでしょう。

リフレクソロジーについてですが、一般的に妊娠16週目以降からの施術はOKとされていますが、これはあくまで私の所属する団体の規定であり、公的に決められたものではありません。
悪阻の症状をやわらげるためにおこなう軽い施術も、妊婦さんにとって決して悪いことではないと考えています。
あくまで一般的にということであり、必ず個人差はあるので妊婦と胎児の状態をよく把握すること、そして異常妊娠など危険を伴う場合は禁忌となるので、医師の診断をしっかり確認しておくことが、どのような療法に限らず必ず必要となります。

妊娠16週目以降という数字が指定されていますが、これは「妊娠前期の不安定な時期」という解釈となります。
妊娠自体は病気でもなんでもありませんが、妊娠前期に起こる悪阻は妊婦の体が新しい命を異物と認識し、異常ととらえている拒絶反応の意味もあると言われています。

大原則として、直接に問題のある箇所に触れず施術をおこなうリフレクソロジーの特長として、「ホメオスタシスの正常化を促す」という効果が高いことがあります。
要は自分で自分の体を治す自然治癒力が強まるということです。
まず流産することはないでしょうが、体が拒否している状態に対してリフレクソロジー施術はそれを促す結果となりうるリスクがあることもふまえておかなければなりません。

妊娠前期を過ぎ、安定期に入っても様々な症状が発生します。
静脈やリンパ管の充血、体重の増加や姿勢の変化による脊椎や骨格系の障害、心臓や呼吸器系への負担、大きくなった子宮が膀胱や腸管を圧迫することによる消化器系、泌尿器系の障害など。
またホルモン分泌の変化や自律神経系により、精神的に不安定な状態にもなります。

リフレクソロジーはこのような心身のバランスの崩れに対し、緩やかに穏やかにしかし確実に妊娠時の不快症状を緩和する効果をもたらします。

そして赤ちゃんを産んだ後の産褥期においても産後痛や子宮収縮、悪露の排出などさまざまな症状がありますが、やはりリフレクソロジーを受けることによりこのような症状が緩和されます。

ただ、妊娠は病ではないけれども多くのリスクがあることを知っておかなければなりません。経験豊かなリフレクロジストでなければ施術をおこなうべきではないでしょう。
禁忌となるかどうかの判断は数値に表わされるものだけではありませんので、その見極めを感じ取る技量や経験が必用とされます。

妊娠前後の辛い症状を抱えておられる一人でも多くの妊婦さんに、ぜひ安全安心なリフレクソロジーを知ってもらい施術を受けることで、その恩恵に与っていただきたいと願います。

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コメント

自分も今は、よろず屋稼業ですが、
さすがに産科と小児科だけは診る事は無いので、
興味深く読ませてもらいました。

陣痛促進剤が頑固な便秘に著効すること、
パーキンソンの薬で黒い汗が出ることなど、
この道20余年、未だに患者様に教えていただける事も多く、
こりゃ一生勉強だな・・・と思っております。

今も101歳の方が、尊厳を保って自然死されました。
お盆以降これで4人目。
病院転院や点滴・流動・胃ろうを希望されず、
自然で穏やかな最期を希望されるご家族が急増しています。
この4名、全員が自然死です。
自分もこういう死に方をしたいです。

そんなこともあり先日、エンディングノートを買いました。
これから夫婦で色違いのペンで、記入して行こうと思ってます。

>まぁさん

そーだねえ、まぁさんの職場で妊娠~出産なんてことがあったら世界中からTV取材がくるんじゃない!www

パーキンソンの薬で黒い汗っすか、
それは怖い。 ...ってかなんで?

そうですか、101歳なら大往生ですね。
でもお盆以降で4人も自然死でお亡くなりにって、かなり優秀(?)なんじゃない?

いまの高齢者問題や医療のことを突き詰めてくと、自然死を希望するお年寄りやご家族が増えてくるのは当然のことのように思います。
簡単には死ねなくなってしまった現代、生きる権利と同じように死ぬ権利も尊重されるべきなんでしょう。

死を考えるのに早すぎることはないってことが今の仕事を始めてから解ってきました。

お互いにしっかり生きて、
そして幸せに死にましょう。

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