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2014年5月

2014.05.26

足についての本当 3

偏平足や外反母趾なども足の構造の変化は、ほとんどの場合においてそれが改善されることはありません。
しかし健康グッズ売場などでは、土踏まずを持ち上げるインソールや足指の間に挟む矯正具などがあたかも偏平足、外反母趾が治るかのような宣伝文句とともに販売されています。
しかし落ち込んだ土踏まず、第1趾が内側に入り飛び出した中足骨がそのような矯正具によって治るとは考えにくいと水口氏は論じておられます。

偏平足において、元々は人間も赤ん坊のときは皆変わらず土踏まずがない偏平足なのですが、それが成長とともに足の骨格が変化して土踏まず(足のアーチ)が形成されます。
歩行や運動による衝撃の緩和や上体姿勢の変化によるバランス保持のために足のアーチを含む足の構造体が役立っているわけです。

成長過程において何らかの理由があって偏平足となるわけですが、その理由を無視してただ単純に下がった土踏まずを持ち上げても意味はないし、むしろ弊害さえあるのではと考えられます。
ただでさえ地面にべったりとついた土踏まずの部分をさらにインソールで密着させるということは、直立状態では確かに安定するかもしれませんが、歩行など上体の重心移動の際にはさらにクッション性が損なわれ、多くの骨と関節、靭帯で形成されている足という構造体の本来の機能が果たせなくなるのではないかということです。

外反母趾についても然りで、よくハイヒールを履きすぎて外反母趾になったなどという話を聞きますが、ハイヒールを履いていてもならない人もおり、靴を履く習慣のない民族や男性にでも外反母趾の方はおられます。また近年では子供も外反母趾も多くなってきています。
これは靴の形状ではなく、もっと他になんらかの原因が考えられるということなのでしょう。

そして外反母趾の矯正具ですが、先の細い靴を履いたのが原因として無理やりに指を広げるようなことをしたところで治るわけがなく、そもそも靴が原因であるとは限らないので、そのような矯正具は意味をなさないのではないか。

と、昔から常識的におこなわれてきた治療法が間違っているのではという疑問が浮上してきます。
実際に矯正具で足の変形が治った人はまだ見たことがありません。

では外反母趾がなぜ起こるのか。

これは先天的に足の構造が変形しやすい場合(先天性内転)が挙げられ、その状態のまま運動をおこなうおとにより足先に変形(外反母趾など)が生じてしまうということです。
水口氏は指先ではなくカカト周辺の構造が崩れてしまったことにより、外反母趾が生じているのではないかと仮定しておられます。
カカトの関節が柔らかすぎるために起こる「過剰回内」という状態により、本来持ち上がっているはずの足根骨周辺が下へ落ち込み、それに繋がっている中足骨端部が横に広がる結果となり、足を支えるアーチが崩れて第一中足骨は内反し、相対的に母趾は外反している状態が外反母趾となります。

この外反母趾を引き起こすカカト周辺の骨格の崩れですが、これは足だけでなく脚部が大きく関係しているということです。
カカトの骨の上にあるスネの内旋が過剰回内を引き起こし外反母趾になってしまうということです。
そして過剰回内を改善するのに向かないインソールや第1趾を無理に広げる矯正具はさらに外反母趾を助長させる恐れがあるということです。
改善は難しいですが、予防やケアには自分の足に合った専門のインソールが必要で、運動時の足や指の使い方を適正なものにするため、カカトの関節まわりをコントロールするファンクショナルオーソティック(足底板)が有効なようです。
ただ単に土踏まずを持ち上げてアーチ構造を作るのではなく、アーチを機能させるための治療用足底板で、これは専門家に依頼して作成していただくことが望ましいでしょう。

外反母趾対策として、市販されているものは直接患部にアプローチしている商品がほとんどであり、また足指で床に置いたタオルを引き寄せる運動(タオルギャザー)や足指ジャンケンで筋肉や靭帯を鍛えるなどの予防運動も無意味であるばかりでなく、症状を悪化させる要因となりかねないので注意が必要です。

 著者はこの他にも様々な足が体に与える影響を、今までと違った視点から検証しておられますが割愛させていただきます。

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次に体全体に目を向けてみましょう。

足というものは単純に立つ・歩くために体の下にくっついているのでなく、素晴らしい精密機械であり全身いたるところに影響を与えさまざまな心身の不調の原因となっている場合が多くあります。

以前に建築技術者であった僕の視点から言えば、基礎がしっかりしていない建物は上部の構造体である柱や壁、梁などの歪みにつながり、壁のひびわれや屋根の雨漏り、建具が歪んで開閉が困難になったり、床が真っ直ぐにならないことで、そこで暮らす人間の健康にも影響を及ぼすなど多くの不具合が発生します。

人も建物も「土台が一番の肝心要」なのです。

単純な首・肩こりや腰痛にはじまり、脊椎の歪みにまで発展すると、様々な神経性障害から内蔵にまで悪影響を与え、自律神経やホルモンのバランスの乱れから精神疾患にまで発展することが考えられます。

「木を観て森を観ず」という言葉通り、症状が出ている箇所だけにしか目がいかないでいては、不調の原因となっている本当の原因をないがしろにしていしまい、結果的に対症療法を繰り返し、さらに症状を悪化させて取り返しのつかないことになるかもしれないということです。

これは何も足だけに限らず、例えばうちのクライアントさんの今年になってからの話ですが、夜中に肩の激痛で眠れないことが続き、整形外科を受診しても原因がわからず痛み止めの処方だけで何ヶ月も過ごしていたのが、枕の高さを調整してみてはどうですかと助言したところウソのように夜中の激痛が消えてしまったということがありました。

冒頭で著者は整形外科医ではなく…と書きましたが、現代医学にありがちな機械修理のように部品を取り替えるような、痛みがあるからと単純にそれを止めて(隠して)しまうようなアプローチではなく、人間は体の全てがつながりを持って機能していることに着目し、新たな視点から今まで常識とされてきた足への目の向け方が、とてもホリスティック的でリフレクソロジーとの共通点を感じられました。

悪いところだけを見て、そこを抑える(誤魔化す)というのではなく、もっと全体を観なければいけないよということ。
世の中の全てのことに言えるかもしれませんが、見えている部分だけしか見ずに対策を講じていては根本的な解決にはつながらないということです。

2014.05.10

足についての本当 2

まず足の仕組みについてですが、足首から先の骨格を形成している骨は左右あわせて52個もあります。
全身の骨を全部かぞえても206個しかないので、いかに足部に多くの骨、関節、筋肉や靭帯などが存在しているかわかるかと思います。
手も同じ左右で52個なのですが、文字や絵を描く、物を作る、楽器を弾くなどの繊細な動作を考えれば納得できますが、なぜに足先にこれほどまで多くの骨が存在しているのか、進化の途中で尻尾がなくなったようになぜ足の骨はもっと単純な構造にならなかったのかを考えると、今でもそれだけ多くの骨が必要であり機能していると考えるほうが妥当ではないでしょうか。
実際に足はまるで精密機械のように体幹の変化をうまくコントロールしているまるで司令塔のようなはたらきをおこなっています。

著者の水口氏もそのこについて触れておられ、足の構造の重要性について述べておられます。

人間の足裏にはアーチを形成する土踏まずがありますが、足の骨組みが崩れて足裏が地面にべったりとついてしまう偏平足になってしまうと、足のみならず体全体に多くの負担がかかり、様々な障害やパフォーマンス低下にもつながります。

これは古くから問題視されていることで、海外の老舗メーカーなどではこの落ちてしまった土踏まずを持ち上げる靴の中敷きで偏平足を補っていましたが、これが本当に正しいことなのかと疑問を持たれたようです。

著者は土踏まずが下がってしまったからといって、その部分を人為的に持ち上げてしまうことは本当によいことなのかという疑問を投げかけておられます。
土踏まずは地面から持ち上がっていてこれが衝撃の緩和のクッションの役割をしたり体幹バランスに貢献しているわけですが、土踏まずが下がっているからといって無理矢理にこれを中敷きによって密着させてしまうことは本当によいことなのかということです。

100年以上も前から変わらず常識とされてきた偏平足へのアプローチに対して異を唱えるような発言をなさっているわけで、なかなか勇気のいることだと思いますが、それだけご自身の経験に裏打ちされた理論に自信があるのだろうと思います。

人の体は60兆個もの細胞の一つ一つが全て意味があって存在しています。すべてがつながりを持ち影響しあって私たちの体はうまく機能しています。
足もあの小さな範囲に多くの骨と関節を備えて構造体を形成していることはなんらかの理由があってそうなっているのです。

医学全体においても、病や症状に対してそれを薬などで「抑える」という対症療法が今までの主流でしたが、近年では人間に元から備わっている治癒力や免疫力などを活用した治療法を取り入れる医療に段々とシフトしつつあります。

足病に関してもこれまで絶対的に信じられてきた法則・方法をいったんあらためて、足へのアプローチに対してニュートラルな感覚で考えていくことも必要な時期にきているのかもしれません。

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