« キリシタン黒田官兵衛 | トップページ | 森の呼吸 »

2014.08.04

エビデンスに基づく統合医療学会

8月2日(土)3日(日)と大阪中之島リーガロイヤルNCBで開催された『第3回エビデンスに基づく統合医療研究会』[eBIM研究会]に8/3(日)だけ参加をさせていただきました。

140802_001


近年、予防医学や健康への関心が高まっていますが、高齢化やストレス社会から、認知症や様々な精神疾患、生活習慣病を始めとする慢性疾患などすぐに回復が難しい症状に対して従来の西洋医学だけでなく補完代替医療の各種手法が求められています。しかしそのほとんどがエビデンスに裏付けされていないのが現状です。
厚生労働省は平成24年3月から1年間「統合医療の在り方に関する検討会」が開催され、統合医療を「近代西洋医学を前提として、これに補完代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と位置づけました。
これに沿ってエビデンスを検証した上で患者様に正しい知識と安心して治療を受けていただける日本独自の「統合医療」を提供していこうというのが研究会の主旨です。
現在は漢方や機能性食品、鍼灸、ヨーガ療法、アロマセラピーなどが対象となっていますが、ゆくゆくはリフレクソロジーも貢献できるのではないかと今回は参加させていただきました。

さまざまな療法をおこなうことで疾患や症状がどれくらい緩和されたかをきちんとデータ解析して検証していくことで、西洋医学だけでなく補完代替医療の側でも今までわからなかったことや判断できなかったことがクリヤーになり、お互いが本当に向上できる取り組みで、この分野は今後ますます発展していくものと思われます。

特に印象に残ったのが、
文部科学省 科学技術・学術政策研究所
長谷川敏彦先生の特別講演
『人類未曾有の最先端の社会を創りだす研究実験国家日本、その最先端医療の可能性?…「生存転換理論」による19世紀から21世紀医療への展望』

タイトルだけ見ると「なんのこっちゃ?」って感じです。
要は、日本は、世界は、いま大変な超高齢化社会となって老人があふれかえって大変な事態に陥っています。
仕事をして稼いで子供を作る能力がある年月と、それ以外の非生産的な年月が変わらなくなってきていて、2060年には生殖可能年齢を終えた50歳以上が60%を超えるとされています。
(1970年代では50歳以上は10~20%)

人類(ホモ・サピエンス)として20万年の歴史のなかで、このような状態になることは19世紀まで未だかつてなかったこと。
ヒトが誕生して20万年のうち、199,900年間は働けなくなり子供が作れなくなったら程々のところで死んでいたのが、ここ最近の100年あまりで生殖・生産以後の人生が同じくらい延びちゃってるということです。
これは生命の誕生38億年のなかでも初めて経験する異常事態で生物学的には有り得ないことです。カマキリなどは生殖が終わるとメスに食べられちゃいますから、用無しになったオスは食物にされるというのが合理的なのかもしれません。他にも生殖と同時に次世代へ命を繋いでいく生物は自然界では多く存在しています。
ヒトだけが異常ということです。
そしてこの状態は定常化しもう覆すことはできない現象であって、なかでも日本はその最先端を走っており世界一の超長寿国としてその対応が「研究実験国家」として大変注目されているということです。
日本人1億2千万人すべてが研究対象ということです。

そこで発想の転換として、今までの19世紀型医療体系ではどうにも対応しきれず、21世紀型の新しい医療が必然となるということです。当然のことながら医療のみならず社会構造自体を変えなければ対応できないということです。

今までは歳をとって病気になる→それを治す(一部のみ)→また悪くなる→また治す。。。の繰り返しでしたが、これでは全く走らない車庫に置きっぱなしの車を意味もなく修理だけを繰り返しているのと同じことで本末転倒です。
これからは「病気にならない体作り」が早期から求められます。
労働年齢や医療費、年金も引き上げなければならないでしょうが、たとえ引退してもせめて病気にならない体を持ち、余生を充実して過ごせるよう「予防医学」に重点を置いていかなければなりません。

19世紀型医療は「分断と切削」の科学でした。
人を各部位に分けて各部品として処理してきた医療です。

が、21世紀型医療は「結合と融合」が求められます。
全人的な視点から「統合医療」を進めていかねばなりません。

人の心身というものは全てが科学的に解析して治療できるものではありませんし、また根拠のない療法を闇雲におこなってもよいというわけではありません。やはりきちんとした検証をおこないエビデンスに基づいたうえで科学的にも感覚的にも良かれという治療法を模索していくことが病の治癒や症状の軽減の近道であり、医療従事者の負担を減らすことや、増大する医療費の削減など人々の幸福に貢献していくものなのだと思います。

« キリシタン黒田官兵衛 | トップページ | 森の呼吸 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

リフレクソロジー」カテゴリの記事

健康・医療関連」カテゴリの記事

コメント

この1ヶ月で、患者に向かう姿勢が変わりつつあります。
今まではジェネラルに全て診て来たけれど、
ここではとにかく脳だけしっかり診ておけば良いんだと。

左下肢のしびれと腰痛の40歳。
明らかに腰のヘルニアの症状なんだけど、
万一、脳梗塞の一症状だったらマズイので、
腰のMRIではなく、脳のMRIを撮る。
そうしたら、実際に40歳にして脳梗塞だったというケースもあった。
こういうレアなケースを見逃す危険がありうるので、
どう考えても心身症だったり脊髄症状だったりしても、
とにかく脳を検査する。

しびれの原因が仮に腰だとしても、
腰のことは整形に任せておけば良いんだと割り切る。
しびれの原因は分からなくても、脳の異常じゃ無いことを確認すればいい。
今の自分に課せられた使命は「脳血管障害を見逃さない」
どうやら、もうこれに尽きるようです。

狭心症でニトロの処方を希望される方が来ても、
内科時代には、普通に処方していたけれど、
今は「専門の循内にかかって下さい」と言っている。
これは、決して冷たいからではなく、
心臓の精査もせずに薬だけ出すリスクが大きいから。

分断の時代に逆行しているのかもしれないけど、
月に1000人以上の患者を診るには、
全人的に診るのは不可能だと分かった。
もう完全に「脳卒中発見マシーン」になってるよw

>まぁさん

今の現状ではそうするより他に手はないでしょう。
他に口出ししたり手出しせず、自分に課せられた使命を全うすることが脳外科医として今すべきことだと思います。精巧で信頼できる【脳卒中発見マシーン】に「専念していただくこと」が現在の医療を支えているのだと思います。
ただでさえ激務なのに余計なことなんてできるわけがないですよ。

でも今でも病棟に医師が不足している状態ですから、この先の近い未来でケアサイクルがまわらなくなることは目に見えていると思います。僕やまぁさんがケアを受けるであろう30年後はどうなっていることやら。。。

やはり我々の年代やさらに若い人たちにもっと健康のことについて真剣に考えてもらい、どうすればメタボやロコモと呼ばれる生活習慣病を予防できるかを学び、そして他力本願になるのでなく自分自身で実践していかなきゃならない、そうしないと国家としてのサイクルがまわらなくなっちゃう時代なのでしょう。

「病になったら治す」から、「病にならないようにする」と思考を変換すべき瀬戸際まできていると思います。
予防医療という観点でいけば補完代替療法もいろいろ貢献できるでしょうから、医療の枠組みを無くした「統合医療」が推進されていくべきなんでしょう。

そしてまず初めの第一歩として「気付き」です。
最近やっているマインドフルネスですが、これは自分の心と体の状態に常に注意・意識を向け「気付く」ということなんです。心が定まっていないと自分の体の変調に鈍感になり、病気が悪化してしまってからやっと治療という悪循環になってしまいます。 脳卒中の方も腰椎ヘルニアの人もきっと体がサインを出していたはずなのに気付けていなかったということが多いと思います。
病が全て無くなるわけではないでしょうが、心と体に各人がきちっと目を向けて日々のケアを怠らなければかなりの疾患は未然に防ぐことができると思います。歳をとって体が思うように動かなくなっ
ても今の自分を受け入れて努力を続けていれば、こんなにも病院が年寄りであふれかえることはないと思います。
ストレスをマインドフルになって瞬間瞬間で処理していけば精神疾患や認知症も少なくなるかもしれません。

国は成長戦略も大事でしょうが、未来の労働力減少を食い止めるためにも、国民ひとりひとりの意識改革に取り組まねばならないと思います。

最前線で日々激闘しておられるまぁさんも、つい人の為にと自らの疲労を顧みず無理をしておられるんじゃないでしょうか?
家族にとってまぁさんは一人しかおらず変わりはいませんので、どんな忙しくともご自身に目を向けてくださいね。
ま、最近はかなりリラックスする時間も増えてるかなw
お互いに健康でボケることなく老後をエンジョイしましょう!

今回の転職、初めが肝心なのは幾度かの転職で学習したんで、
「頼まれない事はしない」
「無理そうな時は無理という」

この2点だけは、今も守って業務にあたってます。
なんつーか、50歳も目前になると、
電車で通勤するだけで、もう朝から疲れてるからねw

そう、ちょっと無理はしてるかもしれないけど、
オレに出来ることと無理な事は、周囲の若いセンセも分かって来たようで
自然に無理なく、無事に1日を終える事だけで精一杯な日々です。

でも、こんなに多忙なのに、メンタルがずっと好調なのは
本当に不思議なんだよねぇ。。。
まーいろいろ薬はまだ飲んでるんだけどさw

この先、いつか最初にギブアップするのは、当直かなぁ。
やっぱ32時間連勤は、さすがにキツくなってきてるから。

>まぁさん

無理なことは無理とはっきり言うことは大事ですね。
頑張ればできるだろうということはたくさんあると思いますが、
一度やると自他ともに「やればできるじゃん」となっちゃって、そこからまた無理の連鎖が始まり、いつしか体調不良に繋がってしまいますからね。
とにかくいつもいつも気づいていることが肝心だと思います。

でも人って怠けて楽ばっかりしてるばかりだと余計に疲れてしまったり、心身のバランスが崩れてしまう生き物のようですね。
ある程度の負荷は逆に体にも心にも良いみたいです。

電車通勤、仕事内容、職場の雰囲気など、今のまぁさんにとって合っているんでしょうね。
仕事も何もかも腹八分目か七分目でいきましょう!

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: エビデンスに基づく統合医療学会:

« キリシタン黒田官兵衛 | トップページ | 森の呼吸 »