NHKスペシャル
『あなたの寿命は延ばせる~発見!長寿遺伝子~』
萩本欽一さんのナビゲーターで放送された番組。
人の体には、長寿につながるサーチュイン遺伝子というものが細胞のなかに備わっているのだが、普段は眠っている状態であり、これを活性化させることで、ミトコンドリアのはたらきを活発化させ、免疫細胞の変質による体への攻撃を防ぎ、老化の原因を抑えるという。
このサーチュイン遺伝子は、30%程度のカロリー制限をおこなうことによって眠っていたものが目覚めて体にとってよい働きをしてくれる。
シミやシワ、白髪などの老化現象の他、、血管壁が厚くなって引き起こされる動脈硬化のリスクを抑えたり、認知症など脳機能の低下、細胞のガン化や糖尿病に関係するインスリン分泌を促進させるという。
2006年にアメリカで酵母から発見されたこの遺伝子は、全ての生物のなかに存在し、寿命を延ばすという共通のはたらきを持っている。
これは生物が生き伸びるために必要不可欠な遺伝子であり、20億年前の単細胞生物が進化していく過程で、過酷な飢餓状態の環境を生き伸びるために突然変異で誕生したと言われている。
しかしサーチュイン遺伝子をはたらかせるには、常時カロリー制限が必要となり、飢餓状態を持続しなければならない。
生きている限り美味しいもの(高カロリー食品)を控え続ける人生を送らなければならないということ。
そこで考え出されたのがレスベラトロールという薬。
面倒なカロリー制限をおこなわずに、サーチュイン遺伝子をはたらかせ、病気や老化のリスクを軽減させて長寿を手に入れられないかと研究開発された薬品。
赤ワインなどに多く含まれるポリフェノールの一種で、日本でもいろんな会社から健康食品としてたくさん販売されてるようです。
その謳い文句として、
寿命延長、抗炎症、抗癌、認知症予防、血糖降下、放射線による障害の抑止、などなど…
確かにすごい発見だとは思いますが、そんなに長寿が大事?
ワシントン大学のルイジ・フォンタナ教授は
人間の寿命を平均120歳まで延ばすことが可能だという。
人類が皆そんなに長生きするようになったら、地球はいったいどうなっちゃうんでしょう?
それでなくとも人口が増え続けてるのに、考えるだけでおぞましい気がする。
思い浮かぶだけでいろんな問題が起こることが予想されます。
薬を変えるお金持ちばかりが長寿となってしまったり、いくら元気なお年寄りといったって、若者ほどの労働力が得られるわけでなく、若年層にその負担がのしかかってきます。
世界的には食糧問題なども深刻になってくるでしょう。
おそらくこの番組の放映後にNHKに問い合わせが殺到したと思われ、僕が見た再放送の番組の最後にお知らせとして、
◆レスベラトロールの錠剤について
・サプリメント(栄養補助食品)ですので
効果は保証されていません。
・医薬品としてはまだ研究段階で、
実用化までには時間がかかります。
という説明文が補足されていました。
実際、市販されているサプリメントと動物実験で効果を得られたものとでは、1000倍近い摂取量の差があり、その効果はあまり期待できないようです。
大昔から王侯貴族たちが不老不死の薬を手に入れようと必死になっていましたが、人間の欲というものには本当に際限がありませんね。
確かに健康で長生きってのはいいことだと思いますが、それを薬を使ってまで大幅に寿命を延ばすことは不自然であり、それによって自然界のバランスが崩れることが懸念されます。
また、薬による副作用は確認されていないらしいですが、それもどうだか…
震災~津波、そして原発問題を経験したことで、科学技術に対する信頼が揺らいでいる現在、人はもっと賢く、そして謙虚になるべきではないでしょうか。
最近のコメント